オマーンへ行かないか。そう連絡をもらった時はなんとなく行けないような気がしていたのだけれど、話しを聞くうちにどんどん興味が出て1年10ヵ月ぶりに海外へ行くことを決めました。
オマーンは日本人にとって未知の国。
いまわたしが行ったところで、すぐに収入につながることはないだろうけれど「オマーンを日本人に紹介する」という役割を担ってみるのもおもしろそうだと思ったのです。
これから14日間にわたる旅行記を作成し、少しでもみなさんがオマーンに行ってみたいなという気持ちになってもらえると心の底から嬉しいです。
それではプロローグから。
心情メインの記事なので、観光地情報が知りたい方は次回以降をお楽しみに。
オマーン女ひとり旅|13泊14日旅行記プロローグ
考え事の多すぎる人生
毎日泣きそうなほど美しい朝陽と夕陽を眺めながら多くのことを考えていた。
これからの人生にとても良さそうなこともあれば、何も今考えなくてもいいじゃないかということも沢山。
今回の旅でわたしは多くの人に出会った。親切で人懐っこいオマーン人。
母国から出稼げに来たけれど帰国もままならぬフィリピン人、バングラデシュ人、スリランカ人。
インド人はわりと元気で、むしろインドにいる時よりパワフルで誠実なインド人に沢山会えて彼らへの偏見がなくなったくらいだ。
2週間の旅行はおそらくわたしにとってぴったりの長さだった。
もう少しここにいたいと思えるくらいは足りなかったけれど、同時に身体も頭の中も随分疲れていた。
夜は22時前に眠ることもあれば深夜1時すぎのこともあったが、どんな時でも朝陽が上る前には身体が勝手に目覚め、毎日美しい朝陽を楽しむことができたのは幸運だった。
仕事がメインとはいえかなり久しぶりの海外旅行。出国前の2週間は緊張とストレスであまり眠れぬ日々を過ごした。
到着した瞬間から全てが解れたが、数日間はまるで夢のようで実感もなくふわふわとした気分だった。
ちょうどマスカットから古都ニズワへ出発する頃、わたしは本当に遠い国へ来たのだと実感し、涙がこぼれた。
旅の中盤に差し掛かった時、日本からとても悲しい訃報が届いた。
「わかる。」なんて簡単に言えることはもちろんないけれど、外から順調に見える人間の孤独や、寂しさはとても理解できる。
家族や友達がいても、いつも相手の時間を奪うことに神経質になり、躊躇い、気軽に電話したり誘ったりできない日々が続いていた。
アラブ文化に触れる
ドライバーのスルタンとはよく小さな喧嘩をした。喧嘩といっても本当にささいな誤解や言い間違いで、すぐに元通りにはなるのだけど。
ある日スルタンはわたしを友人の家へ招待してくれた。
全くプランに入っていなかったし、そのせいで予定も少し狂ったけれど、それは本当に特別な時間だった。
わたしはセイフという男性に会った。見たこともないような豪邸に住んでいて、彼の書斎には近藤麻理恵の著書まであった。
彼はわたしが何か一つ言うたびに「Masha’allah(ما شاء الله)」と大げさに相槌を打つ。
「Massahala」とはアラビア語で「神の心のままに」を意味する慣用句。
「あなたはいつもMasha’allahと言いますね」と聞くと「あなたたちが何か素敵なものや、良いものを持っていると知った時に使うんです」と教えてくれた。
例えば美人、賢い、お金がある、優しい、何かを成し遂げた、ただわたしが日本人であることだけでも「Masha’allah」なのだそうだ。
相手によっては直接ほめるのが良くないとされるアラブ文化。それは素晴らしいね。ということを相手に上手く伝える素晴らしいコミュニケーション方法だ。
彼は突然訪問した名も知らぬ外国人に(当然会ってすぐ名前は交換したけれど)、本当によくしてくれた。
家中案内してくれ、食べきれないほどのウェルカムフルーツとアラビアンコーヒーをふるまい、夕食まで作ってくれた。
それは家族とは別のわたしたち専用の食事でとても美味しかった。
彼の家族や姪たちと1時間ほど話し、帰り際に山盛りのデーツとオマーニードレスと何か洋服が作れそうな布を持たせてくれた。
何がなんだかよくわからぬまま受け取り、彼はいつでも遊びに来てくださいと丁寧に挨拶してくれた。
2週間の旅の中で忘れられない瞬間は沢山あったけれど、セイフと過ごした時間もまたそうだった。
常に誰かに歓迎されもてなされている感覚は、近い家族以外では久しぶりだった。
「こんなに沢山ありがとうございます。日本人は初対面であまり話さないから。わたしも英語が苦手でうまく話せずすみません。」
そういうと、セイフは「雄弁は銀、沈黙は金という言葉がありますから、日本人は金なんですよ」と笑った。
わたしはこれだけ誰かをもてなしたことがあっただろうか。見返りなど何も求めず、相手が誰かは関係なくこうやって人と接っすることができるだろうか。
そんなことをずっと考えながら次の目的地ワヒバ砂漠へ急いだ。
夕方、砂漠に到着し、ひとりでサンセットを眺めていた時。「そうか、わたしずっと寂しかったんだ」と気づいた。
孤独と群衆
そこから前述したところにつながる。
わたしが大の中東好きなのは、ここへ来ると孤独を感じることが少ないからかもしれないな。
きっと住んでみると煩わしいことが沢山あって、1人になりたいと思うのだろうけれど、今のわたしの旅の目的地としては申し分なかった。
そしてアラブ文化の温かく、優しく、穏やかな側面を愛する一方、約束通りに物事が進行すること、ひとりで過ごせる時間もまたわたしが手放すことのできない愛すべき日本文化だと気づく。
結局ないものねだりだなぁ。そうひとり呟いて、美しい夕日が沈むのを待った。
こんなに美しい夕日を前にしてもなお考え事ばかりしている自分が嫌になりつつ、これが自分だと受け入れるしかない。
ひとり旅は時折少し寂しいけれど、とても大切なことに気づかせてくれる時間だった。
オマーン女ひとり旅|13泊14日旅行記プロローグまとめ
2週間もひとりになるというのは滅多にないことなので、色々なことを感じてきました。
観光地はもちろん、現地の人たちとの交流、文化から多くのことに気づかされると思います。
みなさんにも一度中東文化を経験してもらえることを切に願って。
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